漢方医療の特色~診断のやり方・五感とは?なるほどそうだったのか!
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今回は前回に引き続き「漢方について-6」のご案内です。
医師の五感で総合的に診断する
漢方の特色のもう一つは、西洋医学は器機類を用いた検査であるのに対して、漢方では、医師の五感を非常に重要視します。
現代では、もちろん西洋医学的なデータを参考にすることもありますが、もともと経験と技術が非常に重視された「診断即治療」でおこないます。
最も代表的な診断には、問診、聞診、望診、切診の4診があります。
漢方療法の特色
問診
自覚症状、生活状態、嗜好、遺伝関係や既往症、などを本人に尋ねることです。
これは西洋医学と似ていますが、判断基準や症状のとらえ方に違いがあります。
たとえば、発熱の場合、西洋医学では40度も熱があれば、解熱剤を与えますが、漢方では、同じように40度あっても、患者があまり熱を感じず、手足が冷えるという場合には、この症状は陰証の熱でむしろ、附子や乾姜の入った、温める薬剤を与えるといった具合です。
聞診
患者の呼吸、声、せき、うわ言、腹部の振水音、嘔吐、便の色や臭いなどの嗅覚、聴覚によって病態を判断する方法です。
望診
患者の容貌から判断する方法です。
たとえば、顔色が青白く貧血性で、やせ型で筋骨がか細く見える人は、虚証で陰証であることが多く、人参、膠飴、黄耆の入った六君子湯や補中益気湯、小建中湯などの、温める処方が用いられます。
逆に、顔色が赤黒く太っていて筋骨ががっちりしていて暑がりの人は、一般的に実症で陽証であることが多く、こういったタイプの人には、大承気湯、防風通聖散、大柴胡湯、桃核承気湯などの大黄、芒硝などを主とした攻撃的な下剤がよく用いられます。
切診
腹診と脈診の二つが中心で、医師が直接患者の体に触って診断する方法です。
●腹診
中国では脈診を主に、行われているのに対して、日本の漢方では、むしろ腹診のほうを重視しています。
この腹診には次のものがあり、それぞれの症状に合った処方が用いられます。
①みぞおちに抵抗感があるとき(心下痞硬)
②みぞおち(心下部)に振水音があるとき(胃内停水)
③みぞおちがつかえるとき(心下痞)
④へそから下がふわふわしているとき(臍下不仁)
⑤腹直筋が緊張しているとき(腹皮拘急)
⑥季助下を押すと苦しくなり痛いとき(胸脇苦満)
●脈診
両腕の橈骨動脈に3本の指を当てて、寸、関、尺の3箇所の脈の状態をみます。
脈の種類は、全部で33種類あり、そのなかで次の、大、小、微、弱、細、浮、沈、遅、数、弦、緩、緊、滑の13種が主なものです。
実際の病人は、これらの脈が幾つか組み合わされてあらわれます。
たとえば、脈が浮遅して弱いあらわれ方をしますが、この場合は、体内での新陳代謝が衰えているからです。
このような脈をあらわす時には、四逆湯、真武湯を用いて良いというわけです。
以上が「漢方について-6」でした。
少しでも参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。