漢方医療の特色~「気」とは?気が病気の原因になるって?どういうこと?
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今回は前回に引き続き「漢方について-4」のご案内です。
「気」とは、中国哲学において最も伝統的で、普遍的な存在論上の概念となっています。
「気」の字の元は「气」であり、”雲が沸き起こる”にかたどった文字といわれています。
孟子は、「気」は体に満ちたもので、その意志によって統御されるべきものと規定しています。
漢方療法の特色
病気の原因となる気・血・水
漢方には、「気・血・水」といった病理の概念があります。
漢方では、人体を構成している臓器や組織に対して、生命力や活力を与えているのは、「気」と「血」と「水」の三つであると考えられています。
これらの三つが調和して、滞りなく循環している時には、私たちは元気で、その中の一つでも滞ると病気になるというわけです。
それぞれの停滞を、気滞、血滞、水滞と呼び、さらにこれに食滞を加えて、これらのそれぞれの停滞に対して処方が行われます。
神経の働きのことを、ここでは「気」といいますが、これには、精神身体医学的な考え方が含まれています。
「気」によって起こる症状
「気」というのは、情緒や心などといった心因性のもののことをいい、「病は気から」という表現がこれらの現実を伝えています。
最近では、西洋医学で心療内科や精神身体医学などといわれて、漢方でいう「気」が取り扱われています。
しかし、古くから漢方では、この「気」を重要視しており、万病は「気」のうっ滞(滞留している状態)から起こるとさえいわれ、「一気留滞論」という説も唱えられたことがあります。
また、この「気」の留滞を治すために、温泉療法や鍼灸などといったことが行われてきました。
気が留滞すると、どのような状態になるかというと、怒りやすい、腹が立つ、気分が悪い、気がめいる、動悸、息切れ、のぼせる、つかえる、圧迫される、込み上げる感じ、などの症状があらわれます。
現代医学でいうと、精神神経障害や血管運動神経障害によって、このようないろいろの症状があらわれるわけです。
これから分かるように、「気」は自律神経と深く関係しており、喜怒哀楽などといった感情に、支配されやすいのも当然といえるでしょう。
また、このような場合、漢方薬には気の運行をスムーズにする効力があり、この薬物を気剤といっています。
たとえば、「気」が上衝するときには、桂枝を使用します。
また、「気」がうっ滞するときは、水も血も循環が悪くなり滞ってくるので、この処方の中には気剤のほかにも、水や血に効く薬物も合わせて配剤されています。
以上が「漢方について-4」でした。
少しでも参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。